史跡「蚕ノ社」「調神社」

今日はちょっと変わった特徴を持つ神社の話を、メモがてら書いていきます。
神社って史跡…史跡なのかな? とにかくこの記事は神社縁起とか、歴史の観点から面白いなーと感じたものをメモしておきます。

◆蚕ノ社

蚕ノ社は京都府京都市右京区太秦森ケ東町にある神社です。

嵐電に「蚕ノ社駅」ってありますよね。あの駅名の由来になっている神社です。
ただしこれは通称で、正式には「木嶋坐天照御魂神社(このしまにますあまてるみたまじんじゃ)」と言います。

祭神は次の5柱です。

  • 天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)
  • 大国魂神(おおくにたまのかみ)
  • 穂々出見命(ほほでみのみこと)
  • 鵜茅葺不合命(うがやふきあえずのみこと)
  • 瓊々杵尊(ににぎのみこと)


蚕(養蚕)を祭っていることから、帰化人系の氏族である秦氏(はた→はたおり)と関係のある神社なのでは?と言われていますが、それと同じくらい特筆すべきは三つの鳥居が重なった「三柱鳥居」という、全国でも珍しい形の鳥居を有する神社だということです。

このために、キリスト教の三位一体と関係があるのでは?と噂する論説もあったようです。

現地の看板にはこう↑書いてありますが、この記述の出典元が分からないんですよね…。当時は見つけたテンションでこんなふうに呟いていましたが、落ち着いてみると誰が最初に唱えだした説なんだろう?と思うので今は半信半疑だし眉唾でいます。日ユ同祖論が盛り上がっていた時代に秦氏≒ユダヤの子孫という説を取った当時の学者がこういうふうに書いたんじゃないのかなあ…? いや妄想ですが…。歴史ifとしては大層ロマンがあるんですけどね。でもこれって「源義経は衣川で死なず大陸に渡ってチンギス・ハーンになった」って説くらいトンデモな空気が漂っているような――と感じているので、これ(ネストリウス派云々~)はどの学者が何の文献で唱えていた説なのか、どなたかご存知でしたら教えてください。典拠…典拠がないと落ち着かないんだ…


でも、それはそれとして、石造りの鳥居が複合している様子を見学できるのは全国でここだけだと思います。それだけでとても面白い史跡だと思うので、京都に行く用事のある方はピクニックがてら参拝されてみてはいかがでしょうか。京都駅からバス+徒歩で合わせて片道1時間くらいです。敷地はそう広くないですが木陰が多くて、静けさに浸れるのどかな神社ですよ。


◆調神社

埼玉県さいたま市浦和区岸町にある神社です。
つきじんじゃ、と読みます。「調」で「つき」なんて不思議な読み方ですよね。
その名前のために、「月」と関連付けた信仰がある神社のようです。

調神社(つきじんじゃ[1]) は、埼玉県さいたま市浦和区岸町にある神社。式内社で、旧社格は県社。 別称は「調宮(つきのみや)」。社名の「ツキ」により月待信仰が古くからあり、狛犬ではなく狛ウサギがある神社として知られる。
(上記Wikipediaより引用)

狛兎! 狛犬ならぬ狛ウサギですよ!! この時点でとっても興味を惹かれます。
月待信仰というのも面白い…。室町~特に江戸の文化・文政年間に流行した信仰で、悪霊を追い払う行事なんだそうです。なぜ米を育て実らせてくれる太陽じゃなくて月に信仰が集まったんでしょうか。その辺りの事情を考え出すとワクワクが止まりません。いつか行ってみたいなあ。


ちなみに調神社の祭神は、

  • 天照大御神(あまてらすおおみかみ)
  • 豊宇気姫命(とようけびめのみこと)
  • 素盞嗚尊(すさのおのみこと)

この3柱です。(書くのが遅くなりましたが神様の人数は「~人」ではなく「~柱」と数えます)
アマテラスとスサノオは『古事記』『日本書紀』両方に神名が見える姉弟ですね。この姉神と弟神については後述の七不思議の松の話と関連すると言われているようです。


さて、この調神社には「七不思議」が伝わっていて、

1.鳥居が無いこと(倭姫命の命で、調物の運搬の妨げとなる神門・鳥居を除いたことによるという。)
2.松が無いこと(当地に姉神・弟神がいたが、そのうち弟神は大宮にいってしまい姉神が待っても帰ってこなかったため、姉神がもう待つことは嫌いだと言ったことに由来するという。また、姉神が待っているときに境内の松で目を突いたためともいう。)
3.御手洗池((ひょうたん池とも、現在は消滅)の池に魚を放つと、その魚は片目になること)
4.兎を使姫とすること
5.日蓮聖人駒つなぎのケヤキ(佐渡島に流罪途中の日蓮が、当地で難産に苦しんでいた女性のためケヤキに駒を繋いで安産祈祷をしたことに由来するという)
6.蝿がいないこと
7.蚊がいないこと

以上の7つだそうです。(上記Wikipediaより引用/句読点の位置など引用者改変)


個人的に、

  • 鳥居がない
  • 松の木がない
  • 御手洗池に魚を放つと片目の魚になる
  • 狛犬ではなく狛ウサギを置いている
  • 流刑中の日蓮聖人の伝承がある

この5つが気になります。全部が全部同じ時代に成立した伝承ではないでしょうけれど、なぜこれらの要素がこの神社に集まったのだろう…という歴史に思いを馳せると、暫く心が浮ついて眠れそうにないです。


今回はいつも以上にざっくりメモなので、詳しくはご自身でリンク先に飛んだりして見て考えて&確かめてみて下さい。


歴史は鵜呑みにしないの大事! マジで!!

なるべく史料や資料に誠実であろうとしてますけど、でも結局ココは個人の聞きかじった雑記なんで!!!!


という訳で、本日はここまで。

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